私たちが使っている歯磨き粉には「研磨剤」と呼ばれる汚れを落とす成分が多く含まれています。
しかし、研磨剤は歯の表面を傷つける恐れがあり、特に電動歯ブラシを使う際にはこの研磨剤入りの歯磨き粉に注意しなくてはいけません。
では、研磨剤とはどのようなもので、どうして歯磨き粉に含まれているのでしょうか?
今回は歯科医院で長年勤めていた筆者が研磨剤のメリットやデメリットについてお話してきます。電動歯ブラシでも使える研磨剤なしの歯磨き粉も紹介していますので、ぜひチェックしてみて下さい。
CONTENTS
1.そもそも研磨剤とは?
ほとんどの歯磨き粉には「研磨剤(けんまざい)」と呼ばれる成分が含まれています。
研磨剤は固いもので汚れを物理的に磨きながら汚れを落とすという効果があります。
歯磨き粉の裏側にある成分表には「研磨剤」や「清掃剤」といったように表示され、歯の表面についた汚れを物理的に落とす役割があります。
イメージするなら、お鍋のこげ汚れをタワシでこすって落とすような感じ。
研磨剤の成分は以下のものが主流です。
市販の歯磨き粉に含まれている研磨剤の成分
○無水ケイ酸
○重質炭酸カルシウム
○リン酸水素カルシウム
○リン酸水素ナトリウム
○炭酸カルシウム
○水酸化アルミニウム
よく舌触りがザラザラした歯磨き粉がありますがあれも研磨剤です。
1-1.研磨剤入りのメリット
研磨剤入りの歯磨き粉の大きなメリットの一つとしては、歯についた着色汚れが落とせることです。
着色汚れとは、コーヒーやカレーなど食べ物や飲み物に含まれるポリフェノールがタンパク質と結びつき、歯についてしまった茶色い汚れです。
他にもタバコのヤニなどが着色汚れにあたります。
この着色汚れは水に溶けず落ちにくい特徴があり、普段の歯磨きでもなかなか落とすことが出来ません。
そこで研磨剤入りの歯磨き粉を使うとザラザラした成分が着色汚れを削り落としてくれます。
もちろん完全に落とすことは難しいですが、ある程度は自然な歯の白さに戻すことが出来ます。
1-2.研磨剤入りのデメリット
しかし、研磨剤入りの歯磨き粉はその強力な研磨作用から、歯の表面であるエナメル質を削ってしまうという大きなデメリットがあります。
歯の表面が削れると、知覚過敏や着色汚れが溜まりやすくなるなどのトラブルを起こしやすくなるので出来れば避けた方がいいでしょう。
研磨剤は着色汚れを落としてくれる役割がありますが、歯の表面に細かい傷がつき、さらに落ちにくい着色汚れがついてしまう原因になるのですね。
どうしても着色汚れが気になるという方は研磨剤入りの歯磨き粉を使ってもいいですが、毎日使うのは避け、普段は研磨剤なしの歯磨き粉を使うことをおすすめします。
2.研磨剤は歯周病を悪化させる原因にも!
研磨剤に含まれるツブツブしたビーズのようなもの。あのザラザラ感が汚れが落ちる感じがして好き!という人も多いのではないでしょうか?
しかし、あのツブツブ入りの歯磨き粉は歯科医院で私たち歯科衛生士や歯科医師が一番おすすめしない歯磨き粉なんです。
数ある研磨剤の中でも、あのツブツブした物質は、水に溶けることなく歯と歯茎の溝である歯周ポケットの中に入り込み、蓄積していきます。
そこに汚れが溜まりやすくなり、歯周病がどんどん悪化していきます。歯周病が進行している人は、その分歯周ポケットも深いのでツブツブも深くに潜り込んでしまいます。
筆者も歯科衛生士時代にクリーニングをしていると、歯周ポケットから歯磨き粉の研磨剤がポロポロと出てくる患者さんをたくさん見てきました。
ツブツブ入りの歯磨き粉を使っている方は、研磨剤なしの歯磨き粉を使うか他の研磨剤成分を使いましょう!
3.研磨剤なしの歯磨き粉のメリット
研磨剤なしの歯磨き粉の大きなメリットは、歯と歯茎に優しいことです。
歯を物理的に削り落とす研磨剤が入っていないため、歯を傷つけることなく歯を磨くことが出来ます。
研磨剤がなくとも、歯磨きの効果は研磨剤入りのものと変わりません。
よく「歯磨き粉のおかげで歯の汚れが落ちる」とイメージされがちですが、大事なのは歯磨き粉ではなく、ブラッシングのやり方です。
また、歯周病や歯肉炎を起こしている方は、研磨剤の刺激で歯茎から出血しやすくなったり歯茎を傷つける恐れがあるため、研磨剤なしの歯磨き粉を使うことがすすめられています。
4.研磨剤なしの歯磨き粉のデメリット
残念ながら研磨剤なしの歯磨き粉には着色汚れを落とす効果はありません。
着色汚れに悩んでいる方は、研磨剤入りの歯磨き粉を使うよりも
歯科医院で専用のクリーニングをしてもらう方が断然おすすめ!
軽い着色汚れであればクリーニングだけで落とすことができますし、歯の表面も専用の機械でツルツルに磨いてくれるので、着色が付きにくくなるという効果もあります。
5.市販で買えるおすすめの研磨剤なし歯磨き粉ランキング

歯科医院が推奨するオーラルケアブランドのコンクール。
研磨剤なしの歯に優しいジェルタイプで、虫歯を防ぐフッ素が高濃度に含まれています。
発泡剤も含まれていないので電動歯ブラシでも使えますし、普段の歯ブラシの後に軽くこのジェルを塗布するのもおすすめです。

歯科医院でも取り扱いの多い歯磨き粉のチェックアップ。
研磨剤の入っていないジェルタイプで、虫歯を予防するフッ素が歯にとどまりやすく、泡立ちも少ないので、丁寧に歯磨きすることができます。
バナナ味やグレープ味などさまざまなフレーバーがあるので、お子様にもピッタリの歯磨きジェルです。

予防歯科を意識したオーラルケアグッズが特徴のクリニカから販売されているクリニカアドバンテージコートジェル。
研磨剤が入っていないジェルタイプで、高濃度のフッ素が配合されているため歯質を強化し、虫歯の発生と進行を防ぎます。
発泡剤も低配合なので電動歯ブラシと使うことも可能です。
さわやかなミント味でさっぱりとした磨きあがりでジェル初心者の方にもおすすめのアイテムです。
4-1.ホワイトニング効果編

知覚過敏予防の歯磨き粉として有名なシュミテクトから販売されている、唯一研磨剤なしの歯磨き粉が「薬用シュミテクト トゥルーホワイト」。
歯の着色汚れを落とす効果のあるSTP(ポリリン酸ナトリウム)が配合され、ホワイトニング効果もある歯磨き粉。
「歯が染みやすいけどホワイトニングケアにも気を使いたい」という方におすすめです。

2種類のフッ素をダブル配合したジェルタイプの歯磨きジェルです。
研磨剤・発泡剤不使用なので電動歯ブラシにも使うことができ、さらに薬用美白成分ポリエチレングリコールが配合されているので、ヤニなどの着色汚れを落とし、自然な白さへと変えてくれます。
4-2.オーガニック編

オーガニックコスメブランドWELEDA(ヴェレダ)から販売されているジェルタイプの歯磨き粉。
歯磨きの原料にはオーガニックのカモミールエキスなどが使われ、体に優しい処方になっているので、お子様にも安心して使うことができます。
ミント味やソルト味など全部で5種類の味が販売されています。
発泡剤も入っていないので、電動歯ブラシの歯磨き粉としてもおすすめです。

co-heart(コハルト)から販売されているオーガニックの歯磨きジェル“はははのは”は、ホワイトニングに特化した安心の日本製。
10種のオーガニック成分(オリーブオイル、ホホバオイル、アロエベラエキスなど)が配合されており、着色料、研磨剤、パラベン、合成界面活性剤、漂白剤、発泡剤といった刺激を与える成分は一切不使用なのでお口にも優しく、電動歯ブラシでも使用出来ます。
6.研磨剤入りの歯磨き粉なら「低研磨タイプ」がおすすめ
普段からコーヒーやお茶を飲むから着色も気になるし、ジェルタイプの歯磨き粉は使った気がしなくてなんだか…という人におすすめなのが「低研磨」の研磨剤が入った歯磨き粉です!
低研磨タイプの歯磨き粉は、少量の研磨剤の配合で研磨剤もツブツブしていない歯に優しいものを使った歯磨き粉で、研磨剤として「無水ケイ酸」や「含水ケイ素」がよく使われています。
歯科医院で売られている歯磨き粉はほとんどが低研磨タイプで、歯磨き粉のパッケージにも書いてありますので、ぜひチェックしてみてください。
この後おすすめの低研磨タイプの歯磨き粉を紹介していきますね!
7.低研磨タイプのおすすめ歯磨き粉4選
8.まとめ
私達が普段使っている歯磨き粉には、歯のエナメル質を削ってしまう研磨剤が多く含まれています。
研磨剤には着色汚れを落とすといったメリットもありますが、
歯の健康を考えたら研磨剤の入っていない歯磨き粉を使う方がいいでしょう。
最近では研磨剤なしの歯磨き粉が多く売られており、その中でも発泡剤の入っていないジェルタイプは電動歯ブラシと一緒に使えるのでおすすめです。
自分に合ったモノを見つけ、ツルツルの歯を保っていきましょう!
ぜひ、まだ手磨きの方や買い替えで電動歯ブラシの良さを体感してみてくださいね(^^)